日本心臓血管外科学会雑誌
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多発性大動脈瘤に対する手術方針
大楽 耕司齋藤 聰山下 晃正土生川 光成森景 則保吉村 耕一久我 貴之藤岡 顕太郎加藤 智栄藤村 嘉彦善甫 宣哉江里 健輔
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1997 年 26 巻 5 号 p. 322-326

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抄録

多発性大動脈瘤症例を対象とし, その形態, 部位, 手術時期, 合併症等につき検討した. 当科で経験した多発性大動脈瘤14例を対象とした. 男性10例, 女性4例で平均年齢は66歳であった. その内訳は弓部-胸腹部1例, 弓部-腎動脈下6例, 胸部下行-腎動脈上1例, 胸部下行-腎動脈下5例, 胸腹部-腎動脈下1例であった. 瘤径は胸部63±13mm, 腹部54±13mmであった. 一期的手術を施行したのは胸腹部-腎動脈下の1例のみであった. 二期的手術を施行したのは8例で, 弓部-腎動脈下5例, 胸部下行-腎動脈下2例, 弓部-胸腹部1例であった. これらのうち弓部優先3例, 腹部優先5例であった. 術後合併症は脊髄麻痺1例, 腸管壊死1例, 腎障害2例, 呼吸障害2例, 肝障害1例であった. 手術死亡なく遠隔期に3例の死亡を認めた. 多発性大動脈瘤の手術には, 瘤径の大きいほうを優先し二期的に手術を行うほうが望ましい.

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