1998 年 27 巻 2 号 p. 114-117
脊椎カリエスに合併した慢性破裂性腹部大動脈瘤に対して人工血管置換術を行った. 腹部大動脈の後壁には17×17mmの punched out defect が存在し, 仮性動脈瘤は著明に変形した推体に連続していた. 瘤内部には陳旧性の器質化血栓を認めた. 発生機序は, 脊椎炎の炎症が腹部大動脈に波及し, 仮性動脈瘤を形成したものと推測された. 形態的には腹部大動脈瘤の sealed rupture あるいは chronic contained rupture と類似していたが, 本例は非常に稀な病態と考えられた.