1998 年 27 巻 1 号 p. 1-5
Systemic inflammatory response syndrome (SIRS) の概念を導入し, 1987年1月から1996年4月までに当科で入院加療した下肢急性動脈閉塞症の89例を対象とし, 来院時より経時的にSIRSの有無を調べ, 来院時SIRSを呈していた群 (SIRS群) 46例とSIRSを呈していなかった群 (Non-SIRS群) 43例に分類し, 両群を比較検討した. SIRS群では, 死亡率23.9%, MNMS発症率15.2%であったのに対し, Non-SIRS群では, 死亡率2.3%, MNMS発症率2.3%と有意に低かった. 下肢急性動脈閉塞症における, 生命予後, MNMS発症予測にとってSIRSの有無は有用な指標の可能性があると思われた. また, 最近経験した急性動脈閉塞症12例に対し来院時にSIRSの有無で分類し, 経時的に interleukin 8 (IL-8) を測定したところ, どの時相においてもSIRS群では Non-SIRS群と比較し, 有意に高値を示した.