日本心臓血管外科学会雑誌
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心拍動下冠状動脈バイパス術における冠状動脈内シャントの有用性
曽川 正和斉藤 憲名村 理大関 一諸 久永林 純一
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1998 年 27 巻 4 号 p. 222-226

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抄録

心拍動下冠状動脈バイパス術は吻合時の無血視野を得るために, 冠状動脈の閉塞が必要となる. 閉塞部遠位での心筋虚血を予防するために, 冠状動脈内シャントチューブを用い, その有用性を正常ブタ心にて検討した. 冠状動脈シャントチューブを用いたS群 (n=3) と用いないC群 (n=4) で検討したところ, S群では吻合直後に心電図上, 1例にSTの上昇を認めたほかは, STの変化を認めなかった. また, 酵素上は, CPK-MB, トロポニンTともにほぼ不変であった. 手技上の点からシャントチューブは吻合の妨げにはならなかった. 他方, C群では, 1例を除き, 吻合中に心室細動となり, 電気的除細動にても調律を回復し得なかった. 以上の点から, 冠状動脈内シャントチューブは有用と考えられた.

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