日本心臓血管外科学会雑誌
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腹部大動脈瘤手術例の検討
遠隔期成績を中心として
石橋 宏之太田 敬保坂 実杉本 郁夫数井 秀器永田 昌久
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1998 年 27 巻 5 号 p. 297-302

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抄録

腹部大動脈瘤 (AAA) 240例を破裂群 (31例) と非破裂群 (209例) に分け, 非破裂群をASO合併群 (48例) とASO非合併群 (161例) に分けて検討した. 追跡期間は最長15年10か月, 平均4年2か月, 遠隔期追跡率は97%であった. 手術死亡率は破裂群41.9%, 非破裂群2.9%, ASO合併群6.3%, ASO非合併群1.9%であった. 遠隔期死亡原因は心疾患32%, 悪性腫瘍22%, 脳血管障害10%, 腎疾患10%などであったが, 手術時リスクファクターと関連したのは腎不全のみであった. 術後相対生存率は破裂群5年79%, 10年0%, 非破裂群5年90%, 10年70%で, 同年代一般人より低く, ASO非合併群は5年95%, 10年78%, ASO合併群は5年74%, 10年52%であり, ASO合併群ではさらに低値であった. ASO合併群は手術時, 虚血性心疾患, 糖尿病の合併が多く, 全体の遠隔期死亡原因は心疾患, 腎不全が多かった. これらを念頭においた遠隔期フォローアップが重要である.

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