1999 年 28 巻 1 号 p. 30-33
移植心において冠動脈硬化病変の抑制に移植時の low dose 放射線照射が有効であるか否かを病理学的所見より検討した. ラット異所性心移植モデルを用い, 移植前のドナー心に7.5Gy, 15Gyの放射線照射を行った. 移植後20日間 cyclosporine A を投与し, 移植後90日目に移植心冠動脈の血管断面積に占める内膜の割合を算出した. 血管断面積に占める組織学的に計測された内膜の割合は対照群23.1%, 7.5Gy群34.3% (p<0.01), 15Gy群37.0% (p<0.01) と対照群に比して有意に内膜肥厚が認められた. 心移植後の冠動脈硬化病変の抑制に移植時の放射線照射は有効ではなかった.