日本心臓血管外科学会雑誌
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腎梗塞を初発臨床症状として発症した左房粘液腫の1手術例
青山 貴彦太田 敬成宮 千浩間瀬 武則塩井 健介永田 昌久
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1999 年 28 巻 6 号 p. 381-384

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抄録

症例は65歳男性, 腰背部痛から起立困難となり来院した. 腹部の造影CTで右腎梗塞像と腹部大動脈内の異常陰影を認め, また心エコーで左房内に腫瘍を疑わせる像を認めた. 二次血栓塞栓の予防のため同日緊急で腎動脈塞栓症に対する塞栓摘除術を施行した. 術後頭部CTを行い多発脳梗塞を認めた. 初回手術の1週間後に体外循環下に左房粘液腫摘出術を行った. 粘液腫は左房後壁に茎を有しており, 病理にて腎動脈の塞栓子と同一組織であることを確認した. 初回手術後3週目にレノグラム, レノシンチにより腎機能を測定したが, 右腎の機能はほぼ消失していた. 心臓粘液腫は比較的稀な原発性心臓腫瘍であり, その合併症としてしばしば多彩な塞栓症を認める. 今回われわれは腎梗塞の発症を契機に発見され, 腎塞栓摘除術後に左房粘液腫の摘出術を行った1例を経験したので報告した.

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