日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
Stanford A型急性大動脈解離非手術例の予後
特に Stanford A型早期血栓閉塞型大動脈解離の治療方針について
池田 宜孝藤村 嘉彦伊藤 博史郷良 秀典浜野 公一野田 寛加藤 智栄善甫 宣哉江里 健輔
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 28 巻 1 号 p. 3-6

詳細
抄録

1990年4月から1996年7月の期間に当教室で経験した Stanford A型急性大動脈解離のうち発症後超急性期 (48時間以内) に手術を施行しなかった6例を検討した. これは同時期に経験した全 Stanford A型急性大動脈解離症例 (22例) の27.3%であった. 内訳は男性1例, 女性5例で, 年齢は52歳から82歳であり, 6例中4例は早期血栓閉塞型であった. 保存的治療にて軽快したものは早期血栓閉塞型 (画像診断上, 解離とは交通を認めないもの) の1例のみであった. 他の早期血栓閉塞型は急性期, あるいは慢性期に手術を必要とした.解離腔開存型の2例は発症後1カ月以内に再破裂のため死亡した. Stanford A型急性大動脈解離では早期血栓閉塞型であってもその急性期, 慢性期において再解離を来すことが多く, 外科治療が必要と思われた.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
次の記事
feedback
Top