1999 年 28 巻 1 号 p. 3-6
1990年4月から1996年7月の期間に当教室で経験した Stanford A型急性大動脈解離のうち発症後超急性期 (48時間以内) に手術を施行しなかった6例を検討した. これは同時期に経験した全 Stanford A型急性大動脈解離症例 (22例) の27.3%であった. 内訳は男性1例, 女性5例で, 年齢は52歳から82歳であり, 6例中4例は早期血栓閉塞型であった. 保存的治療にて軽快したものは早期血栓閉塞型 (画像診断上, 解離とは交通を認めないもの) の1例のみであった. 他の早期血栓閉塞型は急性期, あるいは慢性期に手術を必要とした.解離腔開存型の2例は発症後1カ月以内に再破裂のため死亡した. Stanford A型急性大動脈解離では早期血栓閉塞型であってもその急性期, 慢性期において再解離を来すことが多く, 外科治療が必要と思われた.