日本心臓血管外科学会雑誌
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腋窩-大腿動脈バイパス術の遠隔期成績
開存率, 患者のQOLからの検討
原田 俊郎中山 健吾北野 忠志阪口 仁寿南 一明
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1999 年 28 巻 1 号 p. 44-49

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抄録

1986年2月から1997年11月の間に施行した腋窩-大腿動脈バイパス術50例の, 短期, 長期成績について検討した. 平均年齢は70.3±9.6歳で, 男性45例, 女性5例であった. 対象疾患は閉塞性動脈硬化症41例, Leriche 症候群7例, 大動脈縮窄症2例であった. 追跡期間中の全ての死亡例は22例で, 手術死1例, 病院死2例, 遠隔期死亡19例であった.グラフトの開存性は, 一次開存率で5年・66.4%, 二次開存率で5年・78.3%であった. 下肢切断は71肢中1肢 (1.4%) であった. 遠隔期転帰は生存例について行い, 78.6%の症例で Fontaine 分類上改善を認めた. 術後のQOLでは患者の満足度, 活動状況について検討し, ともに75.0%の症例で良好との回答を得た. 以上のことより, 全身状態不良の症例に対する腋窩-大腿動脈バイパス術は, 開存率, 症状の改善, QOLの向上などからみて, 有用な術式であると考えられた.

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