2000 年 29 巻 2 号 p. 122-125
循環虚脱に陥った急性広範性肺血栓塞栓症 (PTE) は突然死にいたり救命することが難しい. 今回われわれはPCPSにより救命し外科的血栓摘除が奏功した症例を経験した. 症例は66歳, 女性で, 腎動脈造影検査で入院中に急性PTEを発症しショック状態となった. 心肺蘇生を行いながらPCPSを導入し, 経皮的血栓摘除術を試みたが, カテーテルが心嚢に穿破し, 緊急開胸止血術となった. 手術ではPCPSから通常の人工心肺使用体外循環に切り替え, 損傷部位を縫合止血したのちに肺動脈本幹より直視下に血栓摘除を行った. 体外循環からは容易に離脱できた. 術後2カ月に左腎摘除術のため抗凝固療法を中止したところPTEを再発したが, 経皮的血栓摘除術と血栓溶解療法で軽快し, 再発予防のため下大静脈フィルターを留置し, 良好な結果を得た.