日本心臓血管外科学会雑誌
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冠状動脈バイパス術における術後脳梗塞の検討
南方 謙二小西 裕松本 雅彦野中 道仁山田 就久
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2000 年 29 巻 3 号 p. 139-143

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抄録

1987年から1998年までに施行した単独冠状動脈バイパス術連続681例 (再手術, off-pump 症例は除く) を対象として, 術前脳梗塞の既往を含めた患者背景ならびに術後脳梗塞合併の危険因子について検討した. ここで術後脳梗塞とは, 手術直後つまり麻酔から覚醒したときに症状の出現を確認できたものに加え, 術後4週間以内の周術期に発症したものと定義した. 術前脳梗塞の既往は98例 (14%) に認め, 既往のない群 (583例) に比べ有意に高齢で閉塞性動脈硬化症 (ASO) の合併が多かった. 術後脳梗塞は14例 (2.0%) に認め, うち7例は術直後に発症しており, 手術による直接的な影響が強く疑われた. これらの症例を術後脳梗塞の合併のない群と比較したが, 術前脳梗塞の既往, 人工心肺時間, ASO合併などに有意差はみられなかった. 術後脳梗塞発症の14例のうち4例 (29%) が死亡しており予後を大きく左右していた.

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