日本心臓血管外科学会雑誌
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胸骨小切開アプローチによる心拍動下バイパス術
山本 平細田 泰之笹栗 志朗高澤 賢次後藤 昌弘川崎 志保理山崎 元成佐藤 博福田 智信
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2000 年 29 巻 1 号 p. 21-24

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抄録

小切開心拍動下冠状動脈バイパス術 (MIDCAB) が急速に広まり, 内胸動脈を用いた左前下行枝 (LAD) への1枝バイパス術では左前小開胸 (LAST) アプローチが一般的になった. しかし内胸動脈の剥離, 術野の stabilizing, 術後の疼痛などまだ問題点も多い. 当科では手術をより安全・確実に施行するため, また疼痛の軽減を目的として, 胸骨小切開によるMIDCABを4例施行した. 症例は58歳から75歳の男性で, このうち3例がLAD1枝病変で, 1例が脳血流障害を合併した3枝病変であった. 全例手術中に体外循環への移行もなく, 合併症なく終了し, 術後のグラフト造影は全例良好に開存していた. 疼痛の訴えは軽度で創部の問題もなく, 術後5~11病日に全員退院した. 胸骨小切開法はLAST手術に比べ手術手技が容易で, 痛みも少なく美容上も満足できるものであった.

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