日本心臓血管外科学会雑誌
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幼児の心房中隔欠損閉鎖術における美容上有利な到達法
低位正中皮膚小切開下胸骨全長切開
加島 一郎饗庭 了加藤木 利行橋詰 賢一飯野 与志美川田 志明
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2000 年 29 巻 4 号 p. 225-228

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抄録

近年, 小児心臓手術において, 手術の内容や成績といった本質論のほかに, 美容的な工夫が社会的な需要として高まってきている. 当施設では1998年5月から1999年4月までの1年間に6人の心房中隔欠損の患者 (2~6歳, 平均体重15.8±1.3kg) に対し乳頭位から剣状突起直上までの皮膚小切開 (4.2~5.8cm, 平均4.9±0.3cm) と, 胸骨全長切開による到達法で, 欠損孔閉鎖術を施行した. この方法で手術を施行した患者群を体重をマッチングさせた従来の到達法で手術した患者群と比較したところ, 手術時間, 体外循環時間, 大動脈遮断時間および術後の貧血の進行度に有意差を認めなかった. 創感染や皮下血腫を含む手術創のトラブルはなかった. この方法は胸骨を全長にわたって切開しているので緊急時の対応にも優れていると考えられる. 美容上の見地から, 本到達方法は十分安全で満足の得られる手術方法と考えられる.

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