日本心臓血管外科学会雑誌
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MIDCAB の初期成績
岩橋 英彦田代 忠中村 克彦財津 龍二本村 禎岩隈 昭夫中村 正直村井 映山田 隆司木村 道生
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2000 年 29 巻 5 号 p. 309-314

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抄録

低侵襲冠動脈バイパス術 (MIDCAB) の手術成績について自験例の検討を行った. 1994年4月より1998年11月までのMIDCAB症例23例 (MIDCAB群) と人工心肺使用1枝単独冠動脈バイパス術 (CABG) 症例12例 (On-pump 群) の2群を比較検討した. 術前状態では平均年齢がMIDCAB群で高かったが, 透析症例, 呼吸機能障害, 脳血管障害などは, 有意差を認めなかった. 術中はMIDCAB群で出血量, 輸血率を有意に減少させ, 手術時間も減少傾向であった. 術後経過はMIDCAB群において人工呼吸時間, 術後在院日数を有意に減少させ, 死亡例もなく良好であった. 開存率は88%と On-pump 群と比べるとやや低めであったが, stabilizer 導入後は94%と上昇している. 手技, 器械の発達によりMIDCABは進歩していくものと思われる. MIDCABは1枝病変に有用な方法だが, 導入には慎重な配慮を要すると思われた.

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