日本心臓血管外科学会雑誌
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連合弁膜症に合併し左室中隔壁に発生した乳頭状弾性線維腫の1手術例
依田 真隆廣田 潤斉藤 聡冨岡 秀行上杉 英之岡村 達村田 明川合 明彦八田 光弘小柳 仁
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2000 年 29 巻 1 号 p. 33-36

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抄録

心臓原発の乳頭状弾性線維腫 (papillary fibroelastoma: PFE) は非常に稀な疾患であり, 手術時や剖検時に偶然発見されることが多かった. 最近は心エコーの精度の上昇に伴い他の原疾患の精査中に偶然発見される症例が増えている. 今回, リウマチ性連合弁膜症の経過観察中に偶然心エコーで発見された左室中隔壁発生のPFEを経験した. 症例は50歳, 男性. 10年前よりリウマチ性弁膜症の治療を受けていた. 今回, 微熱と全身の皮疹を主訴に, IE疑いの精査中, 心エコーで左室内異常腫瘤が発生された. 術中所見では, 左室中隔壁に, 直径1cmの無茎性で乳頭状組織を有する腫瘍を認めた. これに対し心内膜と一部筋層を含め切除した. 病理組織学的にはPFEであった. 発生部位から見て弁膜症の血行動態による慢性刺激による過護腫が示唆された. 連合弁膜症に対しDVRとTAPを同時に施行した.

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