日本心臓血管外科学会雑誌
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急速かつ希な発育形態を呈した心臓原発性血管肉腫の1例
名村 理金沢 宏吉谷 克雄中澤 聡山崎 芳彦
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2000 年 29 巻 5 号 p. 354-357

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抄録

49歳男. マラソン大会で20kmを完走, その1カ月後からランニング中に呼吸困難を自覚した. 右室流入部から起始し, 右室流出路を占拠, 両肺動脈に至る非浸潤性の心臓腫瘍が発見され手術を施行した. 2.0×2.0×10.0cm大の腫瘍を摘出, 病理組織診断では心臓原発性血管肉腫であった. 術後経過は良好であったが, 術後約4カ月目に局所再発, 脳転移が出現し再入院. 脳圧亢進症状が進行し, 手術後147日目に死亡した. 本症例は, その経過から急速な発育が示唆された. また, 非浸潤性の発育形態を示す心臓原発性血管肉腫はきわめて希であると考えられた.

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