日本心臓血管外科学会雑誌
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経過中, ULPの出現・消失を認め, 多彩な形態変化を示したA型大動脈解離の1手術例
下村 毅湯浅 毅碓氷 章彦渡邊 孝保浦 賢三
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キーワード: 大動脈解離
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2000 年 29 巻 6 号 p. 404-406

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抄録

62歳, 女性に発症したA型大動脈解離の1手術例を経験した. 発症時のCTで, 上行大動脈の偽腔に血流を認めず, 発症1カ月時のCTで下行大動脈は3腔構造を示し, 大動脈造影で上腸間膜動脈直上の腹部大動脈にULPを認めた. 保存療法を施行されたが, 発症2カ月後のCTで, 上行大動脈の血腫は吸収され, 真腔が拡大し, 下行大動脈は2腔構造に変化した. 3カ月後のCTで, 上行大動脈の再解離を認めた. 大動脈造影で上行大動脈遠位部に限局した偽腔が造影され, 新たなULPが出現し, 腹部大動脈のULPは消失していた. 発症4カ月後に行った手術で, 上行大動脈近位部と右腕頭動脈直下に intimal tear を認め, 上行大動脈人工血管置換術を行った. 経過中, 多彩な形態変化を示した興味深い1例と考えられた.

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