日本心臓血管外科学会雑誌
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先天性下肢静脈形成異常4例の治療経験
岡 藤博西村 和修植山 浩二岩倉 篤三和 千里羽生 道弥腰地 孝昭米田 正始
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2000 年 29 巻 2 号 p. 68-71

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抄録

先天性下肢静脈形成異常の症例4例に対し外科的治療を行った. 症例は13~53歳で片側下肢の静脈瘤と腫脹が存在し, 同部の疼痛, 倦怠感と一部の症例では間欠性跛行を訴えていた. 動静脈造影および血管エコーにて深部静脈の開存を確認し, 異常静脈および不全交通枝を同定した. 外科的治療は異常静脈切除および不全交通枝結紮を施行した. 不全交通枝結紮は2例において追加結紮を要した. 外科治療1~2週間後に硬化療法を施行した. 術後経過は良好で静脈瘤はほぼ消退し, 疼痛, 倦怠感, 間欠性破行も改善した. 先天性下肢静脈形成異常の治療は困難とされ, 経過観察もしくは対症療法で加療されることが一般的であったが, 今回異常静脈切除, 不全交通枝結紮, 硬化療法を施行し, 患者の症状を大幅に改善することが可能であった. 術前の静脈造影ならびに血管エコーによる異常静脈の血液逆流, 不全交通枝の同定が重要であった.

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