日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
高安動脈炎, 片腎患者に合併した胸腹部大動脈瘤, 左腎動脈閉塞に対する1治験例
花房 雄治大北 裕安藤 太三田鎖 治湊谷 謙司松川 律北村 惣一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 30 巻 3 号 p. 157-160

詳細
抄録

症例は71歳, 女性. 45歳時に視力障害が出現した. 精査の結果, 高安動脈炎と診断された. 61歳時より高血圧が増悪し, 腎機能低下も認め, プレドニンの投与を開始した. 67歳時に右無機能腎, 左腎動脈狭窄, 腎血管性高血圧, 腎動脈下腹部大動脈瘤の診断で, 右腎摘出術, 8mm ePTFEグラフトを使用した左腎動脈バイパス術, Y型人工血管置換術を施行した. 71歳時, 左腎動脈および左腎動脈バイパスの閉塞, 胸腹部大動脈瘤 (Crawford IV型) を指摘され, 腎機能障害が進行した. 術前のMR血管造影, レノグラムより, 腎の viability があると考えられ, また, 血圧のコントロールも困難なため, 胸腹部大動脈人工血管置換術, 大伏在静脈を使用した左腎動脈バイパス術を行った. 術後, 腎機能, 高血圧は改善し, 退院となった. このような症例に対しては積極的に腎動脈の血行再建を図るべきと考えられる.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top