日本心臓血管外科学会雑誌
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家族性大動脈解離
2家族4症例の経験
飛永 覚明石 英俊藤野 隆之福永 周司林 伸介小須賀 智一赤須 晃治鬼塚 誠二坂下 英樹青柳 成明
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2001 年 30 巻 3 号 p. 161-164

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抄録

解離性大動脈瘤の原因として Marfan 症候群以外は遺伝的素因についてとくに明らかにされていないが, 家族内に発症した報告が散見されるようになっている. われわれは2家系, 4症例に発症した家族性大動脈解離を経験し, 手術を行い良好な結果を得た. 2例は親子症例であり, 他の2例は姉妹症例であった. 全症例とも術前より高血圧を認め, 発症時の解離の形態は Stanford A型であった. 4例とも骨格系の異常や眼病変を認めず結合織疾患を示唆する所見は認めなかったが, 家系内に高率に高血圧を認め, 病理組織像で全例に嚢胞性中膜壊死の所見を認めた. 家族性大動脈解離の原因として遺伝的な組織の脆弱性や高血圧の関与が示唆された.

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