日本心臓血管外科学会雑誌
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非虚血性心筋症に対する左室部分切除術 (Batista 手術) と周術期管理の問題点
向井 省吾川上 恭司中尾 達也
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2001 年 30 巻 4 号 p. 171-176

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抄録

末期重症心不全に対する左室縮小形成術 (Batista 手術) は, 心移植と並んで重要な治療選択肢の一つである. 本手術を施行した非虚血性心筋症6例について術式や周術期管理を中心に検討した. 年齢は36~73 (平均59.2) 歳であった. 術前NYHA分類III度以上は5例で, 平均LVDdは75mm, EFは29%であった. MR III度以上が5例, TRが3例であった. 手術は体外循環心拍動下に行い, 左室自由壁の菲薄部を中心に切除した. 合併手術はMVRが4例, MVPが1例, TAPが3例, AVRが1例であった. 生存は4例で, 術後4週間目でのNYHA分類は3例がII度以下に改善した. 病院死亡は2例であった. 手術の基本は, 重篤な左室拡張障害の回避と残存MRの防止である. 本術式は, 内科的治療と心移植との間隙を埋める治療法として重要な選択肢となりうる.

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