日本心臓血管外科学会雑誌
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赤外線カメラによる術中撮影が有効であった冠動脈バイパス術の1例
岩橋 英彦田代 忠中村 克彦財津 龍二本村 禎村井 映立川 裕古賀 敏岩隈 昭夫木村 道生
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2001 年 30 巻 4 号 p. 217-219

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抄録

症例は47歳男性, 労作性狭心症の診断にて, 手術の目的で当科に入院した. 冠動脈造影にて左回旋枝 (Cx) #11に75%, 右冠動脈 (RCA) #1-3に完全閉塞を認めたので, 冠動脈バイパス術 (CABG) を行った. 手術は人工心肺を使用し, 心停止下に左内胸動脈 (LITA) をCx#12 (OM2) に吻合し, 右胃大網動脈 (RGEA) をRCA#4PDに吻合した. 吻合直後に赤外線カメラ (IRIS-III) にてグラフトを術中撮影したところ, RGEA-#4PDの血流は撮影されたが, LITA-OM2は, 血流を確認できなかったため, 吻合部の閉塞と判断し同部位に再吻合を行った. 再びIRIS-IIIによる術中撮影を行い, 吻合部から末梢への血流が確認できたため, 手術を終了した. 術後経過は良好であり, 術後の確認造影でバイパスはすべて開存していた. CABGの術中に心筋温と血液温とに0.1℃の温度差があれば, IRIS-IIIは造影剤なしで血流画像を得ることができ, 術中に再吻合の要否の判定に有用であった.

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