2001 年 30 巻 1 号 p. 23-25
腹部大動脈瘤 (AAA) または閉塞性動脈硬化症 (ASO) の症例に冠動脈病変が合併し, 冠動脈バイパス術 (CABG) が一期的または二期的に行われる報告は増えているが, 弁膜症と動脈硬化性病変の合併例に対する手術報告は少ない. 今回われわれは, 両側腸骨動脈閉塞を合併したLVEF24.3%の低心機能AR症例に対し, IABPルートの確保と末梢循環不全予防の目的で, Carbomedics 弁によるAVRと Hemashield-Y 型人工血管による血行再建術を一期的に同時進行させた. 開胸開腹による手術侵襲は大きいが, 手術時間の短縮と良好な末梢循環を得ることで, IABPは必要とせず人工呼吸器からも容易に離脱できた.