2001 年 30 巻 5 号 p. 248-251
症例は40歳男性で, 抜歯後の遷延化する発熱で来院し, 感染性心内膜炎 (IE), 心不全および肝腎不全と診断された. 心電図上, 完全房室ブロック+QT延長を認めた. 持続的血液濾過透析 (CHDF) や強力な抗生物質の投与で多臓器不全 (MOF) を改善させたのち, 大動脈弁の疣贅および高度の逆流に対して人工弁置換術を施行した. 術後に, 重篤な不整脈発作を起こすも内科的治療で治癒し, 以後経過は良好であった. MOFを合併したIEに対しては, CHDFなどの集中的治療を行い全身状態を改善させたのちに, 外科的治療へ移行させることが救命のためのひとつの治療戦略と考える.