2001 年 30 巻 5 号 p. 268-270
報告例の非常に少ない先天性プロテインS欠乏症患者に対する冠血行再建術の1例を経験した. 患者は, 38歳の男性で, 術前検査にて先天性プロテインS欠乏症の診断を受けた. 手術は, 通常通りの体外循環で2枝バイパスを行った. 術後, 止血を確認後ヘパリンを持続的に使用し, 内服開始後よりワーファリンを徐々に増加しながらINR 2.5前後でコントロールし, ヘパリンを中止した. 以後の経過は良好で, 血栓症の発生もなく, グラフトも良好に開存していた.