2001 年 30 巻 6 号 p. 321-323
症例は80歳, 男. 屋根から転落し受傷. 造影CTで前縦隔血腫, 弓部大動脈の内膜亀裂と仮性動脈瘤が認められ, 頸椎・腰椎骨折, 両肺挫傷, 血気胸を合併した胸部大動脈損傷と診断した. 呼吸不全と脊椎骨骨折の固定化のため術前人工呼吸器管理を行い, 受傷後12日目に手術を行った. 鎖骨下動脈起始部の大動脈内膜が半周にわたって断裂, 解離しており, 選択的脳灌流・低体温循環停止を併用して弓部置換術を施行した. 救命したが, 術後も呼吸不全が遷延した. 脳梗塞を併発したが全身状態は改善し, 130病日リハビリのために転院した.