日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
冠動脈バイパス手術における体外循環使用手術による免疫機能に対する影響
Prostaglandin E1投与の意義
芝野 竜一黒岩 中田代 忠木村 道生
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 31 巻 3 号 p. 167-172

詳細
抄録

Prostaglandin E1 (PGE1)使用による心臓手術時の免疫機能の推移について,体外循環中や体外循環後での白血球表面抗原(CD3,CD20,CD4,CD8,CD16,CD11b,CD62L)の発現率,好中球貪食機能を測定した.体外循環後の好中球接着分子CD11bの発現や,好中球貪食機能にPG投与による有意差はなかったが,PGE1投与群は好中球の血管内皮細胞との接着に関するCD62L抗原発現が有意に減少した.さらにTリンパ球抗原のCD3,そのサブセットであるCD4,あるいはCD8発現細胞が減少した.対照薬として使用したアムリノン投与群ではPGE1投与群ほどの大きな影響はみられなかった.これらの結果から体外循環時のPGE1は全般的な免疫系細胞の抑制へと働く可能性が推察された.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
次の記事
feedback
Top