日本心臓血管外科学会雑誌
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大動脈弁膜症に対するATS弁による大動脈弁置換術の評価
SJM弁との比較
神野 禎次多胡 護吉田 英生山根 正隆
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2002 年 31 巻 3 号 p. 183-186

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抄録

ATS弁による大動脈弁置換術の成績をSJM弁と比較し,その有用性を検討した.過去5年間に大動脈弁置換術(単弁)を施行し,術後12ヵ月以上の期間にわたり心エコーにて左室機能を検討できたATS弁群23例とSJM弁群16例を対象とした.これらの症例をAS,AR,ASR群に分け,LVDdI,LVDsI,%FS,LVMIおよび最大人工弁圧較差(PG)を計測し,溶血の指標としてLDHと遊離ヘモグロビンを測定した.LVDdI,LVDsI,LVMIはATS,SJM両群間に差はみられなかったが,%FSはAS群においてATS群で高値をとった.PGは各群の各サイズ間で有意差はみられなかった.術後LDH,遊離ヘモグロビンはATS群で有意に低値をとった.術後の左心機能,LVMIの改善においてATS弁は満足のいく成績を示したが,PGに関しての優位性はみられなかった.人工弁による溶血は,ATS弁群にて有意に軽減されることが判明した.

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