日本心臓血管外科学会雑誌
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破裂性腹部大動脈瘤の手術成績を左右する因子の検討
とくに新しい概念であるショック時間指数を中心に
前田 光徳小長井 直樹矢野 浩己三坂 昌温工藤 龍彦石丸 新
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2002 年 31 巻 1 号 p. 24-28

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抄録

破裂性腹部大動脈瘤の手術成績は,いまだ予後不良であり,これを左右する因子について検討した.1992年から1999年の間で当施設で経験した破裂性腹部大動脈瘤中,手術を施行した18例を対象とした.術前の状態として,Hb9.0g/dl未満,Cr2.1mg/dl以上,虚血性心疾患の既往,Fitzgerald(F)分類の4群,ショック発症から手術施行まで6時間以上経過したものは予後不良であり,とくにショック時間指数(=ショック発症から手術施行までの時間÷腹痛などの症状発症から手術施行までの時間)0.3以上の症例ではF分類によらず有意に致死率が高かった.術中因子としては,出血量,輸血量6,000ml以上,手術時間400分以上の症例は予後が悪い傾向にあった.これら因子を念頭において予後を推測し,治療にあたるべきと考えられた.

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