日本心臓血管外科学会雑誌
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気管内腔の肥厚性変化を伴った血管輪の1例
大徳 和之竹内 功板谷 博幸伊東 和雄一関 一行小山 正幸福井 康三高谷 俊一
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2002 年 31 巻 6 号 p. 388-391

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抄録

重複大動脈弓,血管輪は先天性動脈奇形では比較的希な疾患であるが心内奇形を合併しない限り,循環動態に影響を及ぼすことはなくその予後は良好である.しかしながら初発症状が喘鳴,嚥下困難といった呼吸器や消化器症状であるため確定診断にいたるまで時間を要し予期せぬ合併症に見舞われることがある.われわれは喘鳴を初発症状としたEdwards IA型の血管輪を経験した.血管輪離断術を行ったが呼吸状態の改善を認めず,2回目の手術にて動脈管索離断術およびaortopexyを施行し,人工呼吸器より離脱できた.大動脈弓離断により,気管外からの圧迫は解除されたが気管チューブの刺激による気管内壁の肥厚が原因となって,気管内腔の狭小化をきたしたものと思われた.血管輪には気管軟化症に伴う気管狭窄が知られているが,その他の機序による気管狭窄も念頭に入れ早期診断と適切な治療法の選択が望まれる.

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