2002 年 31 巻 6 号 p. 422-424
腎移植後の連合弁膜症患者に対し大動脈弁僧帽弁置換術を行い良好な結果を得た.患者は50歳男性.慢性腎不全にて17年間の透析治療後に生体腎移植を受けている.大動脈弁閉鎖不全兼狭窄症,僧帽弁閉鎖不全症にて大動脈弁僧帽弁置換術を行った.周術期のタクロリムスは経口投与にてコントロールを行った.術翌日に尿量低下を認めたがヒト心房性利尿ペプチド(hANP)投与が有効であった.感染徴候,拒絶反応,腎不全を合併することなく軽快退院した.われわれが検索した限り腎移植後患者に対する両弁置換術は本邦1例目である.