日本心臓血管外科学会雑誌
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コラーゲン製止血材の生体顕微鏡による評価
組織親和性および吸収性
冨澤 康子小森 万希子高田 勝美西田 博遠藤 真弘黒澤 博身
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2003 年 32 巻 1 号 p. 17-22

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抄録

コラーゲン製止血材の組織親和性および吸収性を評価するために創傷治癒モデルにおいて生体顕微鏡下に観察した.3種類の市販のコラーゲン製止血材,綿状(Integran®),微細線維性(Avitene®)とシート状(TachoComb®)を検討した.家兎の耳介に観察窓を作成し約0.5mgの各試料を留置した(Integran n=8,Avitene n=6,TachoComb n=6).肉眼的および生体顕微鏡学的観察を5週目まで施行した.留置した試料は肉眼的に,Integran群では2週目まで,Avitene群およびTachoComb群では4週目まで観察できた.Integran群では血管新生は速やかに起こり顕微鏡下に綿の繊維上に付着している細胞,および繊維間に侵入している毛細血管が観察され,5週目には6/8匹において観察窓内の脈管構造が完成した.TachoComb群では2週目には試料周囲の浸出液に向かって新生血管は促進したが,Avitene群では浸出液に新生血管は向かわなかった.5週目においてもAvitene群とTachoComb群の両群では浸出液あるいは感染により窓内の脈管構造は完成せず,試料で満たされていた場所は浸出液で満たされているか,空洞が形成されていた.コラーゲン製止血材の形状は宿主の治癒過程に及ぼす影響が大きく,組織親和性,組織治癒および材料の吸収過程には優劣があることが明らかになった.

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