日本心臓血管外科学会雑誌
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橈骨動脈使用による冠動脈バイパス術後遠隔期の臨床症状とサーモグラフィ所見
高橋 昌一貞弘 光章山谷 一広田中 茂穂
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2003 年 32 巻 4 号 p. 220-223

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抄録

アレンテスト陰性で橈骨動脈を使用した冠動脈バイパス術が行われた患者に対して,サーモグラフィ検査による皮膚温の変化と臨床症状の関係を検討した.術後3ヵ月以上経過した連続10症例を対象とした.全例左側から橈骨動脈を採取した.皮膚温測定は,運動負荷前・後の2回測定した.2例のみ安静時動脈採取部位の冷感を訴え,ほか1例を含めた3例が負荷後採取部位に沿って疼痛を訴えた.負荷前後左右の手掌・前腕の尺骨側の温度差は認められなかった.これに対し橈骨動脈側の皮膚温は,右側に比べて左側の上昇が抑えられた.さらに3症例は,運動負荷後明らかに皮膚温の低下を認めた.動脈採取部位の循環障害に伴う症状を有する症例があり,今後グラフトの使用適応において検討が必要と考えられた.

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