日本心臓血管外科学会雑誌
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両側内頸動脈狭窄を伴った遠位弓部大動脈瘤に対し上行および弓部大動脈置換術を施行した1例
山崎 暁青見 茂之野々山 真樹冨岡 秀行山嵜 健二川合 明彦西田 博遠藤 真弘黒澤 博身
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2003 年 32 巻 5 号 p. 307-310

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抄録

71歳,男性.68歳時に小嚢性の胸部大動脈瘤(最大径48mm)を指摘された.69歳時に自己免疫性肝炎を発症しステロイドの内服が開始されたため,内科的に経過観察されていた.70歳時,瘤の最大径52mmと拡大傾向を示したため精査したところ遠位弓部大動脈瘤が左鎖骨下動脈にまで及んでいることが判明し,手術適応と考えられた.また,一過性意識障害の既往があったため頸動脈エコーを施行したところ両側の内頸動脈に狭窄病変を有することが判明したが,cold Xe CTにて脳血流の評価を行ったところ,ほぼ正常パターンを示したことから逆行性脳灌流法(retrograde cerebral perfusion: RCP)を併用することで手術可能と判断された.自己免疫性肝炎についても小康状態にありステロイドから離脱していたため,手術方針となった.手術はRCP,no-touch technique, elephant trunkにて上行および弓部大動脈を置換した.術後,重篤な合併症を生じることなく,退院した.本症例のように内頸動脈に狭窄病変を有する症例に対する場合でも,RCPとno-touch techniqueを用いることでより安全に手術を施行しうる可能性が示唆された.

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