2003 年 32 巻 6 号 p. 329-332
左内胸動脈の術中グラフト流量と術後造影によるグラフト径をsemi-skeletonization法とskeletonization法の二つの採取法で比較した.対象は1999年10月から2年6ヵ月の間にLITA-LAD吻合が行われた52例で,semi-skeletonization法が23例(Semi群)に,skeletonization法が29例(Skeleton群)に行われた.グラフト流量はCardio Med Flowmeter BF1001により閉胸直前に計測し,グラフト径は術後平均16日目に行われた冠動脈造影により計測した.結果はグラフト流量がSemi群36.9±12.8ml/min,Skeleton群50.4±21.7ml/minとSkeleton群で有意に多かった(p=0.019).グラフト径はSemi群2.38±0.42mm,Skeleton群2.46±0.44mmと有意差を認めなかった.これらの採取方法はLITAをより長く使用しうるが,吻合部直前のグラフト径に有意差を認めなかったことからその程度は同程度と考えられた.しかし,術中流量はSkeleton群で有意に多く,採取時に生じるspasmはSkeleton法のほうが少ないと推測された.