日本心臓血管外科学会雑誌
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冠状動脈バイパス再手術症例の治療戦略
LAST-MIDCABの有用性
割石 精一郎西森 秀明福冨 敬小田 勝志籏 厚半田 武巳笹栗 志朗
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2003 年 32 巻 2 号 p. 69-74

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抄録

1999年1月から2001年12月までの3年間に経験した冠状動脈バイパス再手術症例25例を対象とし,術式選択,手術成績の検討を行った.術式として,病変が左前下行枝(LAD)のみの症例,もしくは,心筋シンチ検査でLAD領域のみに虚血が証明された症例には,左前小開胸低侵襲冠状動脈バイパス術(off-pump LAST MIDCAB: LAST-MIDCAB)を選択し,15例に施行した.LAD領域以外にも虚血のある症例,もしくは,先行手術がLAST-MIDCABであった症例には,on-pump median sternotomy CABG (on-pump CABG)を選択し,9例に施行した.On-pump CABGの予定で開始した1例は,胸骨再切開時に右室損傷を認め,on-pump LAST CABGに移行した.LAST-MIDCAB群では,on-pump CABG群に比べ,手術時間,術後在院日数,同種血輸血率が少なかった(p<0.05).LAST-MIDCAB群では,慢性関節りウマチ(RA)に関連する肺線維症の増悪を1例に認めた以外は,とくに術後合併症を認めなかったが,on-pump CABG群では,LOS3例,再開胸止血術1例,MRSA縦隔洞炎1例,PAf2例,皮下感染1例の術後合併症を認めた.再手術においてもLAST-MIDCABは低侵襲であり,とくにLAD領域のみに虚血を認める症例では,積極的に採用すべき術式であると考える.

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