日本心臓血管外科学会雑誌
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筋弛緩剤およびプロタミンアレルギーを有する症例に対して,ヘパリンとメシル酸ナファモスタットを併用し体外循環を行った1例
森田 英幹吉田 英生神野 禎次多胡 護山根 正隆
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2004 年 33 巻 2 号 p. 140-142

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抄録

症例は77歳,女性.平成14年2月6日上行大動脈瘤(最大径7.0cm)に対して手術を行うため,全身麻酔を導入したところ,アナフィラキシーショックとなった.同日の手術を中止し,皮内テストを行ったところ,ベクロニウム,パンクロニウム,プロタミン,ファモチジンが陽性であった.5月22日あらためて上行大動脈人工血管置換術を行った.体外循環時の抗凝固剤は,ヘパリンとメシル酸ナファモスタット(FUT)を併用した.体外循環直前にヘパリンを投与し,体外循環中はFUTを持続投与した.プロタミンによる中和は行わず,体外循環を終了した.体外循環中,抗凝固のモニターとして,活性化凝固時間(ACT)だけではなく,適宜,プロトロンビン時間(PT)も測定した.手術時間は4時間30分,体外循環時間は1時間26分であった.ICU帰室後一時的に出血量が増加したため,MAP4単位,FFP8単位を投与した.その後,経過は良好で術後35日目に退院した.

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