2004 年 33 巻 2 号 p. 143-146
症例は55歳,男性で,8歳時に転落事故による右上腕打撲傷の既往がある.20歳ごろから同部に腫瘤を自覚していたが,受診前数ヵ月の間に急激に腫大し手拳大となった.当院整形外科で上腕動脈瘤を疑われ,手術目的で当科を紹介された.手術は全身麻酔下に上腕動脈瘤を切除し,自家大伏在静脈で血行再建を行った.病理組織所見では動脈瘤壁における内膜の著明な肥厚と中膜の断裂を認めたが,真性動脈瘤であると考えられた.本症は希な動脈瘤で,今回の症例を含め本邦では21例が報告されているに過ぎない.