日本心臓血管外科学会雑誌
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上行大動脈高度石灰化+左鎖骨下動脈閉塞合併症例に対して一期的にaxillo-axillary bypassとin situ graftによる3枝off-pump CABGを施行した1例
伊庭 裕渡邊 直秋本 剛秀阿部 恒平小柳 仁
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2004 年 33 巻 3 号 p. 158-161

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抄録

症例は74歳,男性.息切れを主訴に来院し,心電図上変化を認めたため,カテーテル検査を施行したところ,3枝病変を認め,大動脈造影では左鎖骨下動脈閉塞を認めた.また術前の胸部CTで上行大動脈石灰化を認めたため,手術は一期的にaxillo-axillary crossover bypass graftingとin situ graftによるoff-pump冠動脈バイパス術(CABG)を施行した.術中axillo-axillary crossover bypass grafting後の左内胸動脈(LITA)のfree flowは良好であり,術後造影ではaxillo-axillary bypassを経由してLITAが良好に造影された.術後経過は順調で術後12日目に退院した.上行大動脈高度石灰化を伴う症例に対しては,in situ graftの選択が望ましいと考えられるが,鎖骨下動脈閉塞を合併する症例でも適切な血行再建術後の内胸動脈(ITA)のflowが良好な場合は,ITAはin situ graftとして十分に使用可能であると考えられた.

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