2004 年 33 巻 3 号 p. 185-188
急性大動脈解離を契機に発見された大動脈弁置換術後吻合部仮性動脈瘤の1例を経験した.症例は66歳,男性.15年前に感染性心内膜炎による大動脈弁閉鎖不全に対し,大動脈人工弁置換術を施行された.胸痛で当科を受診したさい,胸部CTでStanford A型急性大動脈解離と上行大動脈前面の仮性動脈瘤が発見された.大動脈解離のprimary tearと仮性瘤のorificeとは関連はなかった.緊急で超低体温循環停止下に上行大動脈人工血管置換術を施行し,良好な結果を得た.大動脈弁置換術後の経過観察において仮性動脈瘤の合併も念頭において経過観察する必要があると思われた.