日本心臓血管外科学会雑誌
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左室下壁に生じた偽性仮性心室瘤に対してDor手術,CABGを施行した1治験例
山本 真人新浪 博須田 優司田畑 美弥子浅野 竜太池田 昌弘竹内 靖夫
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2004 年 33 巻 3 号 p. 193-196

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抄録

症例は53歳,男性.1997年6月,脳梗塞にて右半身麻痺を認めていた.2000年12月,下壁の心筋梗塞を発症したが近医での保存的入院加療により軽快し,退院後通院加療中であった.2002年1月9日,胸痛が出現し当科紹介入院となった.左室造影で左室下壁に心室瘤を認め,冠動脈造影でLAD#7に75%狭窄,#8に90%狭窄を認め,RCA#2は完全閉塞しておりLAD末梢からわずかながらRCA末梢に側副血行路を認めた.手術適応と判断しDor手術,冠動脈バイパス術(左内胸動脈→#8,大伏在静脈→#3)を施行し,術前と比べ左室駆出率は30%から46%へ,左室拡張末期係数は132ml/m2から87ml/m2へ,左室収縮末期係数は93ml/m2から47ml/m2へ改善した.組織学的に左室瘤の瘤壁内に心筋繊維の残存を認めたこと,術前の左室造影で左室瘤の入口部径が瘤径に比べ狭いということから偽性仮性心室瘤と診断され,まれな病態を経験したので報告する.

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