日本心臓血管外科学会雑誌
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Stanford B型大動脈解離発症後に破裂した腹部大動脈瘤の1手術例
小林 俊郎阪田 健介林 研二小林 百合雄
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2004 年 33 巻 3 号 p. 220-223

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抄録

症例は72歳,男性.突然の腰背部痛で発症した.発症から3日後の胸腹部CTにて,Stanford B型急性大動脈解離と動脈硬化性腹部大動脈瘤が合併し,後腹膜に破裂していると診断された.腹部大動脈瘤は最大径60mmであった.全身状態が落ち着いていることから降圧療法を行い厳重に経過観察を行った.発症45日目に腹部大動脈瘤に対して人工血管置換術を行った.解離は腹部大動脈瘤に及び,後腹膜には血腫が存在した.腹部分枝はすべて真腔から分岐していたが,吻合部より中枢側での解離に伴う破裂を予防する目的で中枢側吻合は開窓して行った.今回われわれは既存の腹部大動脈瘤に解離性大動脈瘤を合併し,破裂した希な症例を経験したが,慢性期に人工血管置換術を施行し,経過順調であったので報告する.

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