日本心臓血管外科学会雑誌
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内腸骨動脈瘤の外科治療
丸田 一人福隅 正臣尾頭 厚岡田 良晴松尾 義昭饗場 正宏山田 眞高場 利博
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2004 年 33 巻 4 号 p. 231-234

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抄録

内腸骨動脈瘤は希な疾患であるが,発見時にはすでにかなり大きくなっていることがある.したがって術式として流入動脈の結紮にとどまる場合も少なくないが,中枢側結紮のみでは不十分とする報告もある.当科は過去15年間で14例・22個の内腸骨動脈瘤手術を経験しており,13例・17個に対して瘤切除もしくは再建を行い,内腸骨動脈中枢側結紮を行った症例は3例・5個であった.うち2例は術後のCTにて瘤内に血流は確認できないものの,瘤径の縮小化は認められなかった.残る1例は術後6年が経過するが,CTにて瘤内に血流を認め,わずかながら瘤径が拡大している.最近の2症例で内腸骨動脈瘤の中枢側を遮断する前後で瘤内圧を測定したが,中枢側結紮するだけでは十分に瘤内圧を下げることはできなかった.内腸骨動脈瘤の治療としては瘤周囲の剥離が困難な場合は,瘤内腔より分枝血管を閉鎖するendoaneurysmorrhaphyが最善の方法であると考えられた.

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