2004 年 33 巻 1 号 p. 26-29
症例は65歳,男性.胸部X線にて異常陰影を指摘され入院となった.精査にて胸部下行大動脈瘤を認め,ステントグラフト内挿術を施行し,良好な結果を得た.その2時間後突然の胸背部痛および右下肢虚血症状を認め,造影CTおよび血管造影にて左鎖骨下動脈分枝直後にエントリーを有する急性B型解離を認めた.ただちに再ステントグラフト内挿術にてエントリー閉鎖に成功し,術後6ヵ月にて完全に解離腔は消失した.胸部下行大動脈瘤に対しステントグラフト内挿術直後に急性大動脈解離を合併した希な症例を経験したので報告した.