日本心臓血管外科学会雑誌
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弁輪部膿瘍を伴う感染性心内膜炎をきたした先天性孤立性大動脈四尖弁症の1手術例
斎藤 雄平青田 正樹小池 裕之植草 英恵中根 武一郎小西 裕
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2004 年 33 巻 4 号 p. 306-308

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抄録

先天性孤立性大動脈四尖弁は非常に希な先天性半月弁異常とされており,本邦での手術例の報告も少ない.症例は47歳,男性.発熱,呼吸困難のために当院入院後,症状が増悪し,挿管となり,人工呼吸管理が開始となった.血液培養にてStreptococcus agalactiaeが検出され,経食道心エコーでは,大動脈弁は四尖弁で,IV度の逆流と,弁尖に疣贅の付着を認め,感染性心内膜炎と診断された.抗生剤を投与したが,炎症反応は完全には改善せず,心不全も軽快しないため,挿管から26日目に,大動脈弁置換術を施行した.大動脈弁は四尖よりなり,2弁尖が大きく,ほかの2弁尖は小さい形態をしており,各弁尖間には完全な形の交連が存在していた.さらに,弁輪部には膿瘍の形成を認めた.膿瘍部は自己心膜を用いてパッチ閉鎖後,21mmのSJM弁を用いて置換した.術後4日目に抜管し,その後の経過はおおむね良好で,心電図上,ブロックも認めず,断層心エコー上も異常所見を認めず,術後46日目に退院となり,社会復帰した.

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