2004 年 33 巻 5 号 p. 337-340
症例は32歳,男性.10歳時に内臓逆位,房室錯位,DORV,VSD,PSに対し,機能的二心室修復術であるVSD閉鎖+Rastelli手術が施行された.しかし体心室である解剖学的右室の機能低下,房室弁逆流(TR)のみならず肺心室房室弁逆流(MR)が進行,重症心不全に陥っていた.このような症例に対し,これら2弁の同時置換術を施行,心不全を軽減させた.房室錯位症のTVRは多いがMVRまで要するのは希で,本症例では肺心室-肺動脈間の弁なし導管とTRによる肺高血圧がMRの原因であると推察された.