日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
先天性二尖弁大動脈弁狭窄症交連切開術後30年目に発症し,気道圧迫を合併したDeBakey II型解離性大動脈瘤の1手術例
名村 理諸 久永登坂 有子曽川 正和林 純一
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 33 巻 5 号 p. 344-347

詳細
抄録

13歳時,先天性二尖弁大動脈弁狭窄症,動脈管開存症に対して大動脈弁交連切開術,動脈管結紮術を施行された43歳,男性.軽度の胸痛自覚後1ヵ月ごろから咳漱,呼吸困難が出現し近医を受診した.大動脈弁の再狭窄および気道圧迫を伴う最大径12cmのDeBakey II型解離性大動脈瘤を指摘され当院に入院した.準緊急的にinclusion法により大動脈基部および上行弓部大動脈置換術を施行した.術後,換気不良に陥り,胸部CTでは人工血管周囲とラッピングに用いた瘤壁の偽腔内に血腫を認め,気道の圧迫が残存していた.第7病日に血腫除去,ラッピングに用いた瘤壁の縫縮を行い,気道圧迫は解除された.初回手術後第12病日に人工呼吸器を離脱,第67病日退院した.なお,動脈瘤壁の病理組織診断では嚢胞状中膜壊死を認めた.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top