2004 年 33 巻 5 号 p. 348-351
な症例は31歳,女性.大動脈炎症候群に伴い,右総頸動脈,鎖骨下動脈まで及ぶ腕頭動脈瘤(最大径25mm)と大動脈弁閉鎖不全症(Sellers分類IV度)を認めた.CRPが27.5mg/dlと高値であったため,ステロイドによる治療でCRPが陰転化したのち,腕頭動脈人工血管置換術,大動脈弁置換術を一期的に施行した.術中,脳内局所酸素飽和度(rSO2)をモニターし,脳虚血に注意しながら頸部の動脈を遮断したが,rSO2は低下しなかった.術後,Horner症候群が出現したものの,そのほかの経過は良好で術後28日目に退院した.将来,出産を希望する患者であったが,本人が再手術を希望しないため,妊娠・分娩時に抗凝固療法を考慮することとし,機械弁を用いて大動脈弁置換術を行った.