日本心臓血管外科学会雑誌
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ステントグラフト内挿術後再破裂をきたした破裂性動脈瘤の2例
一関 一行伊東 和雄棟方 護小山 正幸鈴木 保之福井 康三高谷 俊一福田 幾夫
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2004 年 33 巻 1 号 p. 34-37

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抄録

胸部および腹部の破裂性動脈瘤に対するステントグラフト内挿術ではエンドリークが問題となる.2000年6月から7月にかけて,当科においてステントグラフト内挿術を施行した破裂性動脈瘤2例について検討した.症例1:79歳女性,胸部大動脈瘤破裂.弓部末梢からステントグラフトを留置したが,術翌日に急変し,死亡.剖検にてステントグラフト中枢側からのリークによる胸腔内への破裂が原因と判明した.症例2:84歳女性,腹部大動脈瘤破裂に対してステントグラフト内挿術を施行した.術後下腸間膜動脈(IMA)からの2型エンドリークと左内腸骨動脈からの瘤内逆流を認め,6ヵ月目のCTにて瘤の増大傾向を認めた.開腹的にIMAの結紮を試みたが,同定しえず,左内腸骨動脈のみ閉鎖したが,IMAからのリークは残存.初回手術から10ヵ月目に再破裂をきたし,人工血管置換術を施行し,退院した.破裂性動脈瘤に対する治療として,ステントグラフト内挿術は侵襲も小さく,優れた手法と思われるが,エンドリークが生じた場合には瘤内圧を血栓のみで抑える形となる.破裂性動脈瘤でのステントグラフト内挿術後のエンドリークは,できるかぎり早期にかつ完全に対処すべきと考えられた.

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