日本心臓血管外科学会雑誌
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左肺全摘術後症例に対して僧帽弁置換術を施行した1例
森田 英幹吉田 英生森本 徹神野 禎次多胡 護山根 正隆
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2004 年 33 巻 6 号 p. 395-398

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抄録

肺全摘後の症例に対する開心術は,呼吸機能の低下,心臓・大血管の偏移による術野確保の制限などさまざまな問題がある.今回,8年前に左肺全摘した症例に対して,僧帽弁置換術(MVR)を施行し,良好な経過が得られたので報告する.症例は75歳,男性.平成6年,膿胸のため左肺全摘術を受けた.その後,とくに自覚症状は認められなかったが,平成14年9月呼吸困難が出現したため,緊急入院した.心エコー検査上,III度の僧帽弁閉鎖不全症(MR)が認められ,それによる心不全と診断した.心不全を治療したのち,縦隔はやや右方偏移していたものの,通常の手順でMVRを施行した.術後17時間目に気管内チューブを抜管でき,術後経過は良好であった.術前の十分な心不全治療,カテコールアミンによる循環動態の維持,厳重な水分バランスの管理などにより,良好な経過が得られたと考えられた.

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